インバウンド需要とは?インバウンド増加と外国人労働者の需要について解説

執筆者 2月 4, 2020ニュースコメント0件

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インバウンド需要とは|2026年現在の最新動向

「インバウンド需要」とは、日本を訪れる外国人旅行者(訪日外国人)が日本国内で生み出す宿泊・飲食・買物・体験などの消費需要を指します。2020年前後の新型コロナウイルス感染症による落ち込みを経て、直近では訪日客数・消費額ともに過去最高を大きく塗り替えており、人材確保の観点からも企業が無視できないテーマとなっています。

訪日外国人旅行者数・消費額は過去最高を更新

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年(令和7年)の訪日外国人旅行者数は約4,268万人で、前年比15.8%増と過去最高を更新しました。観光庁が2026年1月21日に公表したインバウンド消費動向調査の速報値によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円(前年比16.4%増)で、暦年として過去最高を記録しています。1人当たりの旅行支出は22万8,809円でした。

2026年に入ってからも基調は続いており、JNTOの月次推計値では2026年2月の訪日外客数は346万6,700人で、2月として過去最高となりました。中国からの旅行者は減少したものの、韓国・台湾・欧米諸国など多くの市場で過去最高を記録しています。

「量」から「質」へ転換するインバウンド市場

観光庁の発表によると、2025年の訪日消費額の費目別構成では、宿泊費が3兆4,617億円(構成比36.6%)で最大となり、前年比26.7%増と大きく伸びました。次いで買物代が2兆5,490億円(同27.0%)、飲食費が2兆711億円(同21.9%)と続きます。前年と比較すると宿泊費の構成比が上昇し、買物代の構成比が低下しており、宿泊や体験を軸とした滞在型消費へのシフトが読み取れます。

政府は2023年3月に策定した第4次観光立国推進基本計画において、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の3つを柱に掲げ、2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人・旅行消費額15兆円という目標を設定しています。企業側から見れば、単に「来客数が増える」だけでなく、宿泊・飲食・体験の質に対する期待値が年々高まっていることを前提に、受入体制を設計する必要があると言えます。

インバウンド需要と外国人労働者需要の関係

人手不足とインバウンド対応の二重課題

インバウンド需要の拡大は、宿泊業・外食業・観光関連サービス業を中心に「人手が足りない」という構造的な課題を一層深刻化させています。日本人労働力人口の減少が続くなかで、訪日客の急増に対応する現場スタッフや、多言語で接客できる人材を確保することは、多くの企業にとって経営上の優先課題となっています。

その結果として、これまで外国人材の雇用経験が乏しかった中小企業も含めて、外国人労働者の採用に踏み切るケースが広がっています。特定技能・技術人文知識国際業務・特定活動など、就労可能な在留資格を持つ人材をいかに定着させ、法令に沿って管理するかが、インバウンド対応力そのものを左右する時代になったと言えるでしょう。

外国人労働者数は過去最高の257万人に

厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、2025年(令和7年)10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、前年比26万8,450人の増加となり、届出が義務化された2007年(平成19年)以降で過去最多を更新しました。対前年増加率は11.7%です。外国人を雇用する事業所数も37万1,215所で過去最多となっています。

同まとめによると、国籍別ではベトナムが60万5,906人(全体の23.6%)で最多、次いで中国43万1,949人(同16.8%)、フィリピン26万869人(同10.1%)の順となっています。在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が86万5,588人で最も多く、前年比20.4%増と伸びが顕著です。続いて「身分に基づく在留資格」が64万5,590人、「技能実習」が49万9,394人、「資格外活動」(留学生のアルバイト等)が44万9,324人、「特定活動」が11万1,074人と、すべての区分で増加しています。

インバウンド対応で外国人雇用需要が高まる主な業種

厚生労働省の届出状況まとめでは、外国人労働者が多く雇用されている産業として製造業が最多であり、サービス業(他に分類されないもの)、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業などが続いています。ここでは、インバウンド需要の影響を直接受ける主な業種について、最新の動向を整理します。

宿泊業

観光庁の発表によると、2025年の訪日外国人旅行消費額のうち宿泊費は3兆4,617億円(構成比36.6%)で、前年比26.7%増と大きく伸びました。宿泊単価の上昇と長期滞在を好む欧米豪市場の拡大が背景にあるとされています。フロント業務での多言語対応、レストラン・清掃・調理などの現場要員のいずれにおいても外国人スタッフのニーズは高まっています。

特定技能制度では「宿泊」分野が対象となっており、日本語および技能試験に合格した外国人材を受け入れることが可能です。業務範囲は、フロント・企画・広報・接客・レストランサービスなど宿泊サービスの提供全般とされています。

外食・飲食サービス業

訪日外国人の増加は、ファストフードやファミリーレストラン、居酒屋など日常的な外食業態にも波及しており、接客・調理現場での人手不足は深刻化しています。ただし、特定技能「外食業」分野については、出入国在留管理庁から新規受入れに関する重要な運用変更が示されており、注意が必要です。

特定技能「外食業」分野では、在留者数が上限5万人に到達する見込みとなったことを受け、2026年4月13日以降に受理された新規申請は原則不交付・不許可となる措置が取られています。既に就労している外国人の在留期間更新や、一部の例外ルートは継続されますが、新規採用を計画している場合は、最新の運用方針を出入国在留管理庁のサイトで必ず確認してください。

▶ 関連記事:特定技能「外食業分野」の新規受入れが停止へ|企業がとるべき実務対策

観光関連サービス業

観光バス、土産物店、テーマパーク、体験型アクティビティなどの観光関連サービス業では、多言語対応と文化理解を兼ね備えた人材が求められています。観光庁によると、政府は2030年までに訪日リピーター数4,000万人を目標に掲げており、地方部への誘客が今後の重点施策とされています。地方の観光事業者にとっても、外国人雇用は「いつか考える選択肢」ではなく「今検討すべき人材戦略」になりつつあります。

製造業

厚生労働省の届出状況まとめによると、産業別の外国人労働者数では製造業が引き続き最多となっています。インバウンド需要と直接の関係は薄いように見えますが、食品製造業や土産物製造、地場産業の工芸品製造などでは訪日客向けの生産拡大に伴う人手需要が発生しています。特定技能制度においても「飲食料品製造業」「工業製品製造業」などが対象分野となっており、外国人材の受入が進んでいます。

外国人雇用で企業が押さえるべき在留資格と制度動向

就労可能な在留資格の主な種類

外国人がインバウンド関連業務や一般の就労活動に従事するためには、活動内容に応じた在留資格が必要です。主な就労系在留資格には、専門的・技術的分野の「技術・人文知識・国際業務」、即戦力人材を受け入れる「特定技能1号・2号」、技能を要する業務に従事する「技能」などがあります。また、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など身分に基づく在留資格では活動制限がなく、幅広い業務に従事することが可能です。

一方で「留学」や「家族滞在」は原則就労不可であり、資格外活動許可を取得した場合に限り、原則として週28時間以内のアルバイトが可能です。在留資格の種類ごとに就労可否と就労可能な業務範囲が厳密に定められているため、採用時の確認が不可欠です。

特定技能制度の対象分野拡大と外食業分野の新規受入停止

2019年4月に創設された特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野において即戦力となる外国人材の受け入れを目的とした制度です。政府は分野の追加を段階的に進めており、現在は介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業などが対象となっています。

前述のとおり、特定技能「外食業」分野では2026年4月13日以降の新規受入れが原則停止される運用となっており、既に受け入れている企業も含め、各分野の最新の運用方針・受入上限・試験日程を出入国在留管理庁のサイトで確認することが欠かせません。

技能実習から育成就労制度への移行(2027年4月施行)

2024年6月に改正入管法および関連法が公布され、現行の技能実習制度に代わる新たな制度として「育成就労制度」が創設されました。公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)および法務省の情報によると、育成就労制度の施行日は2027年(令和9年)4月1日と定められています。

育成就労制度は、特定技能1号水準の技能を有する人材の育成と、人手不足分野における人材の確保を目的としており、原則3年の在留期間で特定技能への移行を前提とした制度設計となっています。これまでの技能実習制度では原則認められなかった本人意向による転籍も、一定の条件のもとで認められる方向で議論が進んでいます。インバウンド需要に直結する宿泊業や飲食料品製造業などの分野でも対象となる見込みであり、2027年の施行までに受入体制や社内ルールの見直しを始める必要があります。

外国人雇用で企業が負う法的リスクと実務対策

不法就労助長罪の厳罰化

外国人を雇用する企業にとって最大の法的リスクが、出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2に規定される不法就労助長罪です。この罪は、不法滞在者や就労資格のない外国人を雇用・あっせんした場合に適用され、雇用主が不法就労の事実を知らなかった場合でも、過失が認められれば処罰対象となります。

改正入管法により、不法就労助長罪の法定刑は従来の「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、またはこれらの併科」へと引き上げられる見通しです。

在留カードの確認と更新管理

不法就労を未然に防ぐためには、採用時および在職中を通じて在留カードの記載事項を確認することが基本となります。確認すべき主な項目は次のとおりです。

  • 本人と在留カード記載の氏名・顔写真が一致しているか
  • 在留期間(在留期限)が切れていないか
  • 在留資格の種類と、許可された就労範囲が実際の業務と一致しているか
  • 就労不可の在留資格の場合、資格外活動許可欄に許可内容が記載されているか

在留カードの有効性は、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」サイトで確認できます。100人以上の外国人を雇用する企業では、在留期限を一元管理し、更新時期を逃さない仕組みを社内に構築することが重要です。

偽造在留カード対策

出入国在留管理庁は、精巧な偽造在留カードが流通していることについて注意喚起を行っており、企業に対して複数の手段による真偽確認を推奨しています。具体的には、在留カードに搭載されているICチップの情報を無料の公式アプリ「在留カード等読取アプリケーション」で読み取り、券面表示と一致するかを確認する方法が案内されています。

目視のみの確認では偽造カードを見抜けない場合があるため、ICチップ読取と番号失効情報の照会を組み合わせて運用することが実務上の基本となります。

▶ 関連記事:不法滞在の見分け方とは?企業が知るべき在留カード確認方法と実務対策を解説

インバウンド需要と外国人雇用のまとめ

2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万人、旅行消費額は9.5兆円といずれも過去最高を更新し、インバウンド需要は宿泊・外食・観光サービス・製造業など幅広い業種に波及しています。これを支える外国人労働者数も2025年10月末時点で257万人に達し、専門的・技術的分野の在留資格を中心に増加が続いています。

一方で、特定技能「外食業」分野の新規受入停止、技能実習制度から育成就労制度への移行(2027年4月施行)、不法就労助長罪の厳罰化など、企業の人事・総務部門が把握しておくべき制度変更は例年以上のペースで進んでいます。採用活動に加えて、在留資格の確認や更新管理、偽造カード対策といった実務の基盤整備が、インバウンド対応力そのものを左右する時代になったと言えるでしょう。

100人規模で外国人を雇用する企業では、在留資格・在留期限の情報を属人的なスプレッドシートで管理していると、更新漏れや不法就労助長のリスクが高まります。外国人材の在留情報を一元管理し、期限アラートや在留カードの真偽確認を効率化するには、ビザマネのような専用システムの活用が有効な選択肢となります。

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著者 ビザマネメディア編集部

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