外国人採用注意点のまとめ|企業が知るべきリスクと対策を徹底解説

執筆者 2月 5, 2020ニュースコメント0件

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外国人採用の現状と注意点の全体像

外国人労働者数は230万人を突破|増加の背景

厚生労働省が2025年1月31日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況によると、2024年10月末時点の外国人労働者数は2,302,587人で、前年比12.4%増加しました。増加幅は約25万人で、届出義務化以降で最大です。

国籍別では、ベトナムが約57万人で最多、次いで中国が約41万人、フィリピンが約25万人となっています。在留資格別では「専門的・技術的分野の在留資格」が約72万人で初めて最多となり、特に「特定技能」は前年比49.4%増の約21万人と急増しています。

産業別では製造業が約59万人で最大ですが、医療・福祉分野が前年比28.1%増と最も高い伸びを示しました。人手不足が深刻な介護や建設、飲食サービスなどの分野で外国人労働者の存在感が急速に高まっています。

外国人採用で企業が直面する主な課題

外国人採用の注意点は、大きく分けて以下の4つの領域に整理できます。

  • 法的な注意点:在留資格の確認、不法就労助長罪への対策、届出義務の履行
  • 人材活用の注意点:日本語コミュニケーション能力、管理者の育成、キャリアアップの温度差
  • 募集・面接時の注意点:労働条件の均等待遇、面接での適性判断、雇用契約書の整備
  • 採用後の注意点:在留期間の更新管理、労働条件の遵守、定着支援

これらの注意点を事前に把握し、適切に対策を講じることで、外国人採用を企業の成長につなげることが可能です。以下、それぞれの注意点を詳しく解説していきます。

外国人採用における法的な注意点

在留資格の確認は最優先事項

外国人を採用する際に最も重要な注意点が、在留資格(いわゆる「就労ビザ」)の確認です。在留資格とは、外国人が日本に滞在して活動するための法的な根拠となるもので、2026年4月現在、29種類が設けられています。

在留資格には就労が認められているものと、認められていないものがあります。就労できる在留資格であっても、それぞれ従事できる業務の範囲が異なります。たとえば「技術・人文知識・国際業務」は専門性が求められる業務に限定されており、工場での単純作業は認められていません。企業は採用前に必ず、自社の業務内容と応募者の在留資格が合致しているかを確認する必要があります。

特に注意が必要なのは、在留資格の範囲外の業務に従事させてしまうケースです。たとえば配属変更によって在留資格で認められていない業務を行わせた場合、外国人本人は資格外活動罪に問われ、企業側にも不法就労助長罪が適用される可能性があります。

就労が制限されている主な在留資格としては「留学」「家族滞在」「短期滞在」「文化活動」などがあります。ただし「留学」や「家族滞在」の場合、出入国在留管理庁から資格外活動許可を受ければ、週28時間以内に限りアルバイトなどの就労が認められます。

不法就労助長罪の厳罰化に要注意【2026年6月14日施行予定】

外国人採用において企業が最も警戒すべき法的リスクのひとつが「不法就労助長罪」です。不法就労助長罪とは、不法滞在者を雇用したり、在留資格で認められていない業務に従事させたり、不法就労をあっせんしたりした場合に適用される犯罪です。

2024年6月に成立・公布された入管法の改正(出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律・令和6年法律第60号)により、不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されることが決まっています。e-Gov法令検索でも確認できるとおり、2026年6月14日施行予定の関連改正により、従来の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」へと引き上げられます。併科(拘禁刑と罰金の両方を同時に科すこと)も可能です。

この罰則は、外国人が不法就労者であることを知らなかった場合でも、在留カードの確認を怠るなどの過失があれば適用されます。「知らなかった」は通用しないため、採用時の確認体制を万全にしておくことが不可欠です。

また、法人に対しても両罰規定が適用されるため、企業そのものが処罰対象となり得ます。罰金だけでなく、事業許可の取消しや技能実習生・特定技能外国人の受入れ停止といった行政処分、さらに社会的信用の失墜など、経営に深刻なダメージを与える可能性があります。

在留カードの確認と偽造対策

在留カードは、中長期在留者に対して出入国在留管理庁が交付する身分証明書です。外国人を採用する際には、必ず在留カードの原本を確認してください。コピーや写真だけでの確認は、偽造のリスクがあるため不十分です。

在留カードで確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 在留資格の種類:自社の業務内容と合致しているか
  • 在留期間の満了日:期限が切れていないか
  • 就労制限の有無:「就労不可」の記載がないか、資格外活動許可の有無
  • 在留カード番号:出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」で有効性を確認

近年、在留カードの偽造が精巧化しており、目視だけでは判別が困難なケースが増えています。出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を活用し、在留カードのICチップに記録された情報を読み取って真贋を確認することが推奨されています。

外国人雇用状況届出書の提出義務

外国人を雇用した場合、事業主はハローワーク(公共職業安定所)に「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。これは雇入れ時だけでなく、離職時にも必要です。届出を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があるため、忘れずに手続きを行いましょう。

届出方法は、雇用保険の被保険者となる外国人の場合は「雇用保険被保険者資格取得届」をe-Gov電子申請で提出します。雇用保険の被保険者とならない外国人の場合は「外国人雇用状況届出書」を「外国人雇用状況届出システム」から提出できます。

外国人採用における人材活用の注意点

日本語コミュニケーション能力の課題と対策

外国人の人材活用において、多くの企業が課題として挙げるのが日本語コミュニケーション能力の不足です。ビジネスレベル以上の日本語力を入社後に求める企業は7割以上にのぼりますが、実際にそのレベルの日本語力を持つ人材は限られています。

ここで注意すべきなのは、高い日本語力を条件にすることで、本来優秀な人材を逃してしまう可能性があるということです。日本語コミュニケーション能力と業務遂行能力は必ずしもイコールではありません。まずは自社の業務に本当に必要な日本語レベルを明確にし、過度な要件設定をしていないか見直すことが大切です。

具体的な対策としては、日本語能力を測定する検定(日本語能力試験(JLPT)やPJC実践日本語コミュニケーション検定など)を活用し、段階的なスキルアップを目標として設定することが効果的です。一定のレベルに到達した場合は給与面に反映させるなど、日本語学習のインセンティブを設けることで、外国人社員のモチベーション向上にもつながります。

外国人を管理・指導できる日本人管理者の不足

外国人採用の成否を左右する大きな要因のひとつが、外国人社員を適切に管理・指導できる日本人管理者の存在です。文化や価値観の異なる外国人社員に対して、業務指示を的確に伝え、成長を促すためには、異文化マネジメントのスキルが求められます。

管理者が不足している場合、外国人社員が特定の部署に偏って配属されるなど、活躍の場が限定されてしまう恐れがあります。外国人材の活用を全社的に推進するためには、管理者向けの異文化マネジメント研修を実施し、組織全体の受入れ体制を整えることが重要です。

キャリアアップの考え方における温度差

外国人社員の定着率を高めるうえで見落としがちな注意点が、キャリアアップに関する考え方の違いです。日本企業では年功序列型の評価制度が依然として残っている場合がありますが、多くの外国人社員は成果主義を重視し、努力や実績に見合った評価と報酬を求めています。

経済産業省の調査によると、大企業に勤める外国人社員がもっとも求めているのは「キャリアパスの明示」です。どのような業務をどの程度こなせば、どのようなポジションに就けるのかを明確に示すことが、外国人社員の定着と活躍につながります。

中小企業では「昇格・昇給までの期間短縮」「能力に応じた評価」「長時間労働の改善」なども要望として挙げられています。外国人社員が感じる不満を放置すると、退職やモチベーション低下を招くことになりかねません。

文化・習慣の違いへの対応

外国人社員と日本人社員の間で生じるミスマッチの多くは、文化や習慣の違いに起因しています。宗教上の戒律による食事制限や礼拝の時間、祝日の違い、コミュニケーションスタイルの差異など、企業として理解し配慮すべき点は少なくありません。

相互理解を深めるためには、日本の企業文化を外国人社員に伝えるだけでなく、企業側も外国人社員の出身国の文化や価値観を学ぶ姿勢が大切です。異文化交流のイベントや研修を定期的に実施することで、職場全体のダイバーシティ意識を高めることができます。

外国人採用の募集・面接時の注意点

求人募集時に押さえるべきポイント

外国人に向けて求人を出す場合、日本人と同等の労働条件で募集しなければなりません。労働基準法第3条では「均等待遇」が定められており、国籍や人種を理由に賃金や待遇に差をつけることは禁止されています。違反した場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

求人広告においても、国籍や人種を限定するような表記は差別にあたるため掲載を避けてください。「〇〇人歓迎」といった記載はNGです。また、外国人も日本人と同様に最低賃金法や同一労働同一賃金などの法令が適用されるため、給与設定に際しては特に注意が必要です。

なお、韓国籍の男性など兵役義務がある国の出身者を採用する場合は、兵役の有無や時期について事前に確認しておくことも実務上のポイントです。

面接時の注意点と採用ミスマッチの防止

外国人採用の面接でよくある失敗は、日本語能力の高さだけで採否を判断してしまうことです。日本語が流暢であっても、それが業務適性の高さを示すわけではありません。具体的な業務経験やスキル、志望動機を丁寧に確認しましょう。

また、在留資格の取得見込みについても面接段階で確認しておくことが重要です。内定を出した後に在留資格が不許可となるケースもあるため、学歴・専攻と職務内容の整合性など、ビザ申請に影響する要素を事前に把握しておきましょう。

雇用契約書の作成と停止条件の設定

外国人を採用する際には、雇用契約書の作成が不可欠です。外国人労働者と企業の間で特に起こりやすいのが、コミュニケーション不足によるトラブルです。雇用契約書は可能であれば外国人の母国語で作成するか、少なくとも内容を口頭で丁寧に説明してください。

雇用契約書には「停止条件」を必ず設定しましょう。停止条件とは、在留資格が取得または変更できた場合に雇用契約が発効するという条件のことです。この条件を設定しておかないと、在留資格が取得できなかった場合でも雇用契約が成立してしまい、トラブルの原因となります。

外国人採用後の注意点と定着のコツ

労働条件は日本人と同等に設定する

外国人であっても、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令は日本人と同様に適用されます。同一労働同一賃金の原則に基づき、同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬を設定しなければなりません。外国人だからという理由で給与水準を低く設定すると、在留資格の取得が認められない場合もあります。

また、社会保険や有給休暇、残業手当なども日本人と同じ条件で適用する必要があります。労働条件の不平等は法令違反となるだけでなく、外国人社員の不満やモチベーション低下の原因にもなるため、公平な処遇を徹底しましょう。

在留期間の更新管理を徹底する

外国人社員の在留期間には有効期限があり、期限が切れた状態で就労を続けると不法就労に該当します。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の場合、有効期間は5年・3年・1年または3か月のいずれかです。在留期限の3か月前から更新申請が可能なので、早めの手続きを促しましょう。

特に外国人を100人以上雇用している企業では、手動での期限管理は限界があります。在留期限が近づいた際に自動でアラートを送信するシステムの導入が有効です。更新手続きの漏れは企業にとっても大きなリスクとなるため、管理体制の整備は急務といえます。

解雇に関するルールを理解する

外国人を正社員として採用した場合、日本人と同様に正当な理由がなければ解雇はできません。「期待どおりではなかった」という理由で解雇することは認められず、労働契約法に基づく解雇権濫用の法理が適用されます。

自発的な退職を促す行為が度を超えた場合には、パワハラとして訴えられるリスクもあります。外国人を採用する前に、求める要件やスキルを明確にし、入社後のミスマッチを最小限に抑えるための計画を立てておくことが大切です。

2027年施行「育成就労制度」で変わる外国人採用

2024年6月に成立した入管法の改正により、現行の技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」が創設されることが決定しました。施行日は2027年4月1日です。

育成就労制度は、技能実習制度の目的であった「国際貢献・技能移転」から「人材育成・人材確保」へと目的を転換するものです。主な変更点は以下のとおりです。

  • 在留資格は「育成就労」が新設され、原則3年間の在留が認められます
  • 特定技能1号への移行を見据えた制度設計となっており、育成後の長期就労が可能です
  • 技能実習制度では原則認められていなかった本人意向による転籍(転職)が、一定の要件のもとで認められます
  • 就労開始前にA1相当以上(JLPT N5等)の日本語能力試験への合格、または相当する日本語講習の受講が要件となります。なお、特定技能1号への移行時にはA2相当(JLPT N4等)の日本語能力が求められます
  • 受入れ対象分野は特定技能制度の特定産業分野と原則一致します

施行後は3年間の移行期間が設けられ、2030年頃までは技能実習制度と育成就労制度が併存します。現在技能実習生を受け入れている企業は、新制度への移行に向けた準備を計画的に進めることが重要です。

育成就労制度の詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。

育成就労とは?技能実習に代わる新制度の概要と企業が知るべき法的リスク

外国人採用の注意点を踏まえて企業がすべきこと

ここまで紹介してきた注意点を踏まえ、外国人採用を成功させるために企業が取り組むべきことを整理します。

まず、法令遵守の体制を整えることが最優先です。在留資格の確認フローを社内で標準化し、採用担当者だけでなく現場の管理者にも周知してください。特に2026年6月14日施行予定の不法就労助長罪の厳罰化を控え、在留カードの確認と偽造チェックの徹底は急務です。

次に、外国人社員の日本語コミュニケーション能力の向上を支援する仕組みを整えましょう。研修の実施やオンライン学習ツールの導入など、企業としてサポート体制を構築することが求められます。日本語力の向上を評価や給与に反映させる制度設計も効果的です。

そして、キャリアパスの明示と公正な評価制度の導入も欠かせません。年功序列型の評価に固執するのではなく、成果や能力を適正に評価する仕組みを取り入れることで、外国人社員の定着率を高めることができます。

さらに、異文化理解を促進する取り組みも重要です。外国人社員が孤立しないよう、メンター制度の導入や定期的な面談、異文化交流イベントの開催など、職場全体で多様性を尊重する風土をつくっていきましょう。

外国人を多数雇用している企業では、在留カードの情報管理や期限管理、届出業務の効率化が大きな課題となります。こうした管理業務を効率化するためには、外国人雇用管理システムの導入が効果的です。在留カードの偽造チェック機能や在留期限のアラート通知、従業員情報の一元管理などにより、管理工数の大幅な削減とコンプライアンスリスクの低減を実現できます。

ビザマネ|外国人雇用管理システム

外国人採用注意点のまとめ

外国人採用には、法的な手続きから人材マネジメントまで、多岐にわたる注意点が存在します。ポイントを改めて整理すると、以下のとおりです。

  • 在留資格と業務内容の一致を必ず確認する
  • 2026年6月14日施行予定の不法就労助長罪厳罰化(5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金)に備え、在留カードの確認体制を強化する
  • 在留カードの偽造対策として、ICチップ読取アプリを活用する
  • 外国人雇用状況の届出を忘れずに行う
  • 日本語コミュニケーション支援と異文化理解を推進する
  • キャリアパスの明示と公正な評価制度を導入する
  • 雇用契約書に停止条件を設定し、労働条件は日本人と同等にする
  • 在留期間の更新管理を徹底する
  • 2027年4月施行の育成就労制度への移行準備を進める

外国人採用は、適切な準備と体制づくりさえ行えば、企業の成長に大きく貢献する戦略です。注意点を正しく理解し、法令を遵守しながら、外国人が安心して働ける環境を整備していきましょう。日本人の採用活動と同じ感覚では対応しきれない部分が多い分、先行して体制を整えた企業こそが、優秀な外国人材を確保できる時代になっています。

著者 ビザマネメディア編集部

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