インバウンドに人気の観光地は?観光地の需要と課題を企業に向けて解説

執筆者 12月 9, 2019ニュースコメント0件

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インバウンドとは|訪日外国人旅行者の基礎知識

インバウンドの意味と近年の位置づけ

「インバウンド」は、観光の文脈では日本を訪れる外国人旅行者(訪日外国人旅行者)を指す用語として使われます。政府統計では、日本政府観光局(JNTO)が「訪日外客数」を毎月公表しており、これが国内外で最も広く参照される指標です。JNTOの定義によると、訪日外客とは、法務省の出入国管理統計をもとに算出した外国人正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等を除き、外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者のことであり、駐在員・留学生等の再入国者は含まれますが、乗員は含まれません。

訪日外国人の出発国はどこか

JNTOが2026年1月に公表した2025年年間推計値によると、訪日外国人旅行者数が多い上位市場は、韓国(約945万人)、中国(約910万人)、台湾(約676万人)、米国(約331万人)、香港(約252万人)の順となっています。オーストラリアも年間として初めて100万人を超え、100万人以上の送客市場は7市場に拡大しました。東アジアを中心としつつ、欧米豪や中東など多様な地域からの訪日が増えている点が、近年の特徴です。

2025年の訪日外国人数と消費額|一次情報で見る最新動向

年間訪日外客数は約4,268万人で過去最高

JNTOの発表によると、2025年の年間訪日外客数は約4,268万3,600人で、前年比15.8%増となり、初めて4,200万人を突破し、過去最高を更新しました。これは、それまで過去最高だった2024年の約3,687万人を580万人以上上回る水準です。月別では、単月で300万人を超える月が続き、2025年は調査対象の23カ国・地域のうち20市場で年間累計が過去最高を記録しました。

旅行消費額は9.5兆円、政府目標への進捗

観光庁が2026年1月に公表した「インバウンド消費動向調査2025年暦年(速報)」によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円で、前年比16.4%増となり、暦年として過去最高を記録しました。1人当たり旅行支出(消費単価、全目的)は22万9,000円で、前年比0.9%増となっています。消費額の上位5市場は、中国、台湾、米国、韓国、香港の順です。

2023年3月に策定された「第4次観光立国推進基本計画」では、2030年の目標として訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円が掲げられています。2025年時点の実績は、訪日客数が目標の約71%、消費額が約63%に相当し、人数の伸びに比べて一人当たり消費単価の引き上げが引き続き課題とされています。

インバウンドの需要について更に知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

インバウンド需要とは?インバウンド増加と外国人労働者の需要について解説- ビザマネ

インバウンドに人気の観光地【最新ランキングと実態】

ゴールデンルートと三大都市圏の位置づけ

インバウンド向けの定番周遊ルートとして知られるのが、東京・名古屋・京都・大阪を結ぶ「ゴールデンルート」です。初めて日本を訪れる旅行者の多くが、このルート上の主要都市・観光地を中心に行程を組む傾向にあると言われています。近年は北陸新幹線の延伸などにより、金沢や福井を経由して関西へ抜ける新たなルートも注目を集めるようになりました。

都道府県別・スポット別のランキングでは、東京・京都・大阪の三大都市圏の人気が継続的に上位を占める傾向があるとされています。JNTOや観光庁が公式に都道府県別の人気ランキングを公表しているわけではないため、本記事では、順位そのものを断定的に示すことは避け、以下では広く紹介されているスポットを中心に、どのような観光地がインバウンドから注目されているかを整理します。

定番の観光スポット(伏見稲荷大社・清水寺・東大寺 ほか)

インバウンドに古くから人気があるとされる観光地には、以下のようなスポットがあります。いずれも日本の歴史・文化・景観を象徴する場所として、海外メディアや旅行口コミサイトでも取り上げられることが多い観光地です。

  • 伏見稲荷大社(京都府):朱色の鳥居が連なる千本鳥居で知られる神社。トリップアドバイザーの「ベスト・オブ・ザ・ベスト アクティビティ(2025年)」の観光スポット部門では、世界ランキングの上位に位置づけられました。
  • 清水寺(京都府):ユネスコの世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つで、四季折々の景観を楽しめる観光地として、国内外から多くの旅行者が訪れます。
  • 東大寺(奈良県):世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産であり、大仏と奈良公園の鹿が有名です。
  • 厳島神社(広島県):海上に立つ大鳥居で知られる世界遺産で、満潮時と干潮時で異なる景観が楽しめます。
  • 広島平和記念資料館(広島県):原子爆弾による被害の実相を伝える施設で、世界遺産「原爆ドーム」と併せて訪れる外国人旅行者が多い場所です。
  • 浅草寺・東京スカイツリー(東京都):都市観光と伝統文化の両方を楽しめるエリアとして、東京観光の定番スポットとなっています。

地方への広がりと「オーセンティックジャパン」志向

近年は、東京・京都・大阪に加えて、北海道のニセコ・富良野、飛騨高山、金沢、沖縄、熊本、別府などの地方観光地も、外国人旅行者から注目を集めていると報じられています。とくに欧米豪の旅行者では、「大都市の定番スポットだけでなく、その土地ならではの暮らしや文化を体験したい」という志向(一般に「オーセンティックジャパン」と呼ばれる傾向)が強まっていると言われています。

政府も「地方誘客促進」を観光立国推進基本計画の柱の一つに掲げており、一部地域に観光客が集中することで発生するオーバーツーリズム対策と、地方への旅行需要の分散をセットで進めている状況です。2024年度補正予算では、オーバーツーリズムの未然防止・抑制を含む訪日外国人受入環境整備に向けた整備費が計上されるなど、公的な支援も継続されています。

インバウンド増加の背景と政府の観光政策

第4次観光立国推進基本計画の3本柱

日本政府は2003年の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」以降、一貫してインバウンド誘致に取り組んできました。2023年3月に閣議決定された第4次観光立国推進基本計画では、①持続可能な観光、②消費額拡大、③地方誘客促進、の3つを柱として位置づけ、訪日旅行者数だけでなく、一人当たり消費額や地方部宿泊数といった「質」に関する指標にも政策目標が設定されています。

2030年目標(6,000万人・15兆円)に対する進捗

先述のとおり、2030年の政府目標は訪日外国人旅行者数6,000万人、旅行消費額15兆円です。2025年時点では、人数で約71%、消費額で約63%の進捗となっており、数字のうえでは人数の目標達成が消費額の伸びを上回っています。そのため、今後は単に訪日客を増やすだけでなく、一人当たりの消費単価や滞在日数、地方部での宿泊数をいかに伸ばすかが、観光関連産業にとっての主要テーマとなっています。

インバウンド増加と企業側の課題|宿泊・観光業の人手不足

深刻化する宿泊業の人材不足

インバウンド需要の拡大により、宿泊・観光関連産業では人手不足が構造的な課題となっています。観光庁が公表している「令和7年版観光白書」では、観光需要の回復に対して、観光関連産業における人材不足や生産性の低さが供給面の課題として顕在化していると指摘されています。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」等でも、ホテル・旅館業は他業種と比較して正社員・非正社員ともに不足感が高い業種として報告されています。

外国人材受入れ制度の最新動向(特定技能・育成就労)

宿泊業を含む観光関連産業の人材確保策として、在留資格「特定技能」による外国人材の受入れが進められています。特定技能「宿泊」では、旅館・ホテルにおけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの宿泊サービス提供に係る業務に従事することが認められており、制度の所管は国土交通省 観光庁です。

また、従来の技能実習制度に代わる新たな制度として、「育成就労制度」が創設されました。育成就労は、原則として特定技能1号水準の技能を有する人材を育成することを目的とする制度で、関連法の成立・公布を経て、施行は2027年度が予定されています。宿泊分野を含む各分野では、特定技能と育成就労を合わせた受入れ見込み数が示されており、観光関連産業でも今後、外国人材の比重はさらに高まると見られています。

実際に、日本政府観光局の統計や訪日需要の回復を背景に、特定技能「宿泊」での採用意欲は多くの事業者で高まっている状況です。ただし、特定技能制度では、分野ごとに受入れ見込数の上限が設定されており、2026年には特定技能「外食業」分野で在留者数が上限に達する見込みとなり、新規受入れが原則停止される方針が示されるなど、分野ごとの制度運用状況の変化にも注意が必要です。

まとめ|インバウンド拡大期に企業がとるべきアクション

2025年の訪日外国人数は約4,268万人、旅行消費額は9兆円を超え、いずれも過去最高を更新しました。人気観光地は、京都・東京・大阪を中心に、奈良・広島・北海道・沖縄などの地方にも裾野が広がり、「オーセンティックジャパン」志向の旅行者が増えていることが、近年の特徴です。政府も2030年の訪日客6,000万人・消費額15兆円という目標に向けて、持続可能な観光・消費額拡大・地方誘客促進の3本柱で施策を進めています。

一方で、観光業・宿泊業・飲食業の現場では人手不足が深刻化しており、外国人材の活用はもはや不可欠な経営課題となっています。特定技能「宿泊」や2027年度施行予定の育成就労など、制度は変化を続けており、雇用する企業側にも在留資格管理の厳格化が求められています。

著者 ビザマネメディア編集部

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