「インバウンド」と「アウトバウンド」業界別の意味の違いや使い方

執筆者 12月 11, 2019ニュースコメント0件

  1. Home
  2. /
  3. ニュース
  4. /
  5. 「インバウンド」と「アウトバウンド」業界別の意味の違いや使い方

ビジネスにおいて重要な役割を果たす「インバウンド」と「アウトバウンド」について正しい理解を持っていますか?多くの人が「インバウンドは聞いたことがあるけど、アウトバウンドは何か分からない」と感じているかもしれません。

実際には、この2つの用語には業界によって異なる意味があります。

グローバリゼーションやITの進化により、人や物の移動が活発化し、ビジネスの形態も多様化しています。その中で、ビジネスにおいて重要なのが、インバウンドとアウトバウンドの概念です。

これら2つの対義語を正しく理解し、適切に取り扱うことが、ビジネスの成功につながります。あいまいな理解では、業務上のトラブルにつながる恐れがありますので、業界ごとにインバウンドとアウトバウンドの意味をしっかりと理解しておくことが必要です。

「インバウンド」と「アウトバウンド」の基本的な意味

各業界での使われ方を理解する前に、まず「インバウンド」と「アウトバウンド」の基本的な意味を押さえておきましょう。この基本概念を理解することで、どの業界でも応用して理解できるようになります。

英語の語源と本来の意味

「インバウンド(Inbound)」と「アウトバウンド(Outbound)」は、英語から来ている言葉です。

インバウンド(Inbound)は、「in(内へ)」と「bound(〜行きの)」が組み合わさった複合語で、「外から中へ入ってくる」という意味を持ちます。本国行きの、帰航の、市内に向かうといったニュアンスで使用されます。

アウトバウンド(Outbound)は、その対義語で「out(外へ)」と「bound(〜行きの)」から成り、「中から外へ向かう」という意味です。外国行きの、市外に向かうといった意味合いがあります。

アメリカなど英語圏では、電車や飛行機の方向を表す単語としても日常的に使われています。例えば、都心へ向かう上り線を「inbound」、郊外へ向かう下り線を「outbound」と呼びます。また、本国に向かう飛行機便を「inbound flight」、国外に向かう便を「outbound flight」と表現することもあります。

ビジネスにおける「インバウンド」と「アウトバウンド」の基本概念

ビジネスの文脈では、この「外から中へ」「中から外へ」という基本イメージをもとに、さまざまな場面で使い分けられています。重要なのは、「何が」「どこから」「どこへ」移動するのかを意識することです。

  • 観光業界:外国人が日本に来る(インバウンド)、日本人が海外に行く(アウトバウンド)
  • マーケティング業界:顧客が企業に問い合わせる(インバウンド)、企業が顧客にアプローチする(アウトバウンド)
  • IT業界:外部からデータを受信する(インバウンド)、外部へデータを送信する(アウトバウンド)

このように、「ある主体から見て、外部から内部へ向かう動き」がインバウンド、「内部から外部へ向かう動き」がアウトバウンドという基本原則を押さえておくと、どの業界でも応用できます。

観光業界における「インバウンド」と「アウトバウンド」

観光業界は、「インバウンド」という言葉が最も頻繁に使われる業界の一つです。テレビのニュースや新聞記事で「インバウンド需要」「インバウンド対策」といった言葉を目にしたことがある方も多いでしょう。

観光業界でのインバウンドとは

観光業界における「インバウンド」とは、外国人が日本を訪れる旅行、または訪日外国人旅行者そのものを指します。日本政府観光局(JNTO)の定義では、訪日外国人旅行者とは「法務省集計による外国人正規入国者から、日本を主たる居住国とする永住者等を除き、外国人一時上陸客等を加えた入国外国人旅行者」とされています。

覚え方としては、「外国人が旅行で日本にイン(in)する」とイメージすると分かりやすいでしょう。「インバウンド需要」とは、訪日外国人観光客がもたらす消費ニーズや購買意欲のことを指し、日本経済への貢献が注目されています。

観光業界でのアウトバウンドとは

一方、「アウトバウンド」とは、日本人が海外を旅行することを指します。「日本人が日本をアウト(out)して海外旅行に行く」とイメージすれば覚えやすいでしょう。

観光庁は2025年3月、外務省および日本旅行業協会(JATA)と共同で「もっと!海外へ 宣言」を発出し、アウトバウンドの促進にも力を入れています。アウトバウンドの促進は、国民の国際感覚の向上だけでなく、双方向の人的交流拡大(ツーウェイツーリズム)を通じて、インバウンドのさらなる拡大にも貢献するとされています。

【2025年最新】訪日外国人数と日本人出国者数の推移

2025年1月現在の最新データをご紹介します。

訪日外国人数(インバウンド)

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年の年間訪日外客数は約3,687万人を記録し、過去最高だった2019年の約3,188万人を約500万人上回りました(前年比47.1%増、2019年比15.6%増)。23市場のうち20市場で年間累計の過去最高を更新しています。

国・地域別では、韓国からの訪日客が約882万人で最多、次いで中国、台湾、香港、アメリカと続いています。特に2024年12月単月では約349万人を記録し、統計開始以来初めて単月で340万人を超えました。

訪日外国人消費額

2024年の訪日外国人旅行消費額は約8兆1,395億円(前年比53.4%増、2019年比69.1%増)で過去最高を記録しました。訪日外国人1人当たりの旅行支出は約22万7,000円と、日本人の国内宿泊旅行の約3倍以上となっています。

日本人出国者数(アウトバウンド)

2024年に出国した年間日本人数は約1,301万人で、2023年比35.2%増となりましたが、コロナ禍前の2019年比では35.2%減と、まだ7割程度の回復にとどまっています。

政府目標

政府は2030年までに訪日外客数6,000万人、消費額15兆円の目標を掲げています。現在のペースで推移すれば、この目標達成も視野に入る状況です。

インバウンド対策の具体例

インバウンド対策とは、訪日外国人観光客にサービスが対応できるよう準備を行うことを指します。以下は代表的な対策例です。

  • 多言語対応:メニューや案内板の英語・中国語・韓国語表記、多言語対応スタッフの配置
  • キャッシュレス決済:海外のクレジットカードブランドや電子決済への対応
  • 免税対応:免税手続きの効率化、免税店の表示
  • Wi-Fi環境:無料Wi-Fiスポットの整備
  • 文化体験プログラム:日本文化を体験できるコンテンツの提供

特に飲食、宿泊、小売業界では、外国人スタッフの雇用によるインバウンド対策が効果的とされています。

マーケティング業界における「インバウンド」と「アウトバウンド」

マーケティング業界では、「インバウンド」と「アウトバウンド」はマーケティング手法を表す用語として使われます。顧客獲得のアプローチ方法の違いを示す重要な概念です。

インバウンドマーケティングとは

インバウンドマーケティングとは、見込み客を自然と呼び込む「顧客主導型」のマーケティング手法です。顧客が自らの意思で商品やサービスを検索し、企業にアプローチしてくる流れを作ることを目指します。

具体的な手法としては、以下のようなものがあります。

  • コンテンツマーケティング:ブログ記事、ホワイトペーパー、動画コンテンツなど有益な情報の発信
  • SEO対策:検索エンジンで上位表示されるための施策
  • SNSマーケティング:SNSを活用した情報発信とコミュニケーション
  • ウェビナー・セミナー:オンラインを含む教育的イベントの開催

例えば、飲料メーカーが公式YouTubeチャンネルでおいしいカクテルの作り方やワインの扱い方を紹介するケースが挙げられます。直接的な商品宣伝ではなく、お酒に興味のある潜在顧客を自然と引き寄せる仕組みです。

アウトバウンドマーケティングとは

アウトバウンドマーケティングとは、企業側から積極的に見込み客にアプローチする「企業主導型」のマーケティング手法です。従来型のセールスアプローチともいえます。

具体的な手法としては、以下のようなものがあります。

  • テレマーケティング:電話による営業活動
  • ダイレクトメール:郵送やメールによる販促物の送付
  • テレビCM・広告:マス媒体を通じた広告宣伝
  • 展示会・商談会:対面での営業機会の創出

両者の違いと使い分け

インバウンドマーケティングは、顧客が自ら興味を持って行動を起こすため、購買意欲が高く、成約率も高くなる傾向があります。一方、成果が出るまでに時間がかかるという特徴もあります。

アウトバウンドマーケティングは、短期間で多くの見込み客にリーチできるメリットがありますが、顧客の関心が薄い場合は効率が低下することもあります。

多くの企業では、両方の手法を組み合わせることで、効果的なマーケティング活動を実現しています。

テレマーケティング業界における「インバウンド」と「アウトバウンド」

テレマーケティングとは、電話を使ったダイレクトマーケティングの手法です。「テレ(tele)」はギリシャ語で「遠隔地」を意味する言葉に由来しています(電話のテレフォンからではありません)。コールセンター業務において、インバウンドとアウトバウンドは明確に区別されています。

インバウンドテレマーケティングとは

インバウンドテレマーケティングとは、顧客や見込み客からの電話を受ける「顧客主導型」の業務です。電話を「受信」するのがインバウンドと覚えましょう。

主な業務内容としては、以下のものがあります。

  • 注文の受注:通販やサービスの申込受付
  • 相談窓口:製品やサービスに関する問い合わせ対応
  • クレーム処理:苦情や不満への対応
  • 技術サポート:製品の使用方法やトラブルシューティング

アウトバウンドテレマーケティングとは

アウトバウンドテレマーケティングとは、企業側から顧客や見込み客に電話を発信する「企業主導型」の業務です。電話を「発信」するのがアウトバウンドです。

主な業務内容としては、以下のものがあります。

  • 見込み客の発掘:新規顧客獲得を目的としたセールスコール
  • キャンペーン案内:既存顧客への新商品や特典の紹介
  • 市場調査:電話によるアンケートや意見収集
  • フォローアップ:購入後の満足度確認やアフターサービス

IT・通信業界における「インバウンド」と「アウトバウンド」

IT・通信業界では、データや通信の「方向性」を表す用語として「インバウンド」と「アウトバウンド」が使われます。ネットワークセキュリティやシステム設計において重要な概念です。

IT業界でのインバウンドとアウトバウンドの使い方

インバウンドとは、外部から機器やシステムへデータを受信すること、または外部からの接続を指します。外部から受信するデータ量は「インバウンドトラフィック」、外部から受信するデータは「インバウンドデータ」と呼ばれます。

アウトバウンドとは、機器やシステムから外部へデータを送信すること、または外部への接続を指します。外部へ送るデータ量は「アウトバウンドトラフィック」、外部へ送るデータは「アウトバウンドデータ」と呼ばれます。

セキュリティの観点では、ファイアウォールの設定において「インバウンドルール」と「アウトバウンドルール」を適切に設定することが重要です。不正なインバウンド通信をブロックすることで、外部からの攻撃を防ぐことができます。

Web業界での使用例

Web業界でも同様の概念が適用されます。

  • インバウンドリンク(被リンク):外部のサイトから自分のサイトへ向けられたリンク。SEOにおいて重要な指標の一つ
  • アウトバウンドリンク(発リンク):自分のサイトから外部のサイトへ向けたリンク

良質なインバウンドリンクを多く獲得することは、検索エンジンからの評価向上につながり、SEO対策として重要視されています。

インバウンド増加に伴う外国人雇用の重要性

観光業界を中心としたインバウンドの急増は、日本企業における外国人雇用の需要を高めています。人事部・総務部の担当者にとって、インバウンド対策としての外国人材活用は重要な課題となっています。

インバウンド対応のための外国人材活用

訪日外国人観光客への対応として、多言語対応や異文化理解が可能な外国人スタッフの存在は大きな強みとなります。特に以下の業界では、外国人雇用のメリットが大きいとされています。

  • 宿泊業:フロント業務での多言語対応、海外の食文化への理解
  • 飲食業:外国人観光客への接客、メニュー説明
  • 小売業:免税手続きの対応、商品説明
  • 物流業:増加する越境ECへの対応
  • 人材派遣業:多様な業界への人材供給

インバウンド関連企業の調査では、90%以上の企業が外国人採用に積極的な姿勢を示しており、今後さらにこの傾向は強まると予測されています。

▼関連記事

インバウンド需要とは?日本企業の国内インバウンド増加と外国人労働者の需要の高まりが発生!

外国人雇用における在留資格管理の重要性

外国人を雇用する際には、在留資格の確認と管理が不可欠です。不法就労を防止し、適正な雇用管理を行うことは、企業のコンプライアンス上、非常に重要です。

特に注意すべきポイントとしては、以下の点があります。

  • 在留カードの確認:偽造在留カードの見分け方を理解し、採用時に必ず確認する
  • 在留期限の管理:更新期限を把握し、適切なタイミングで更新手続きを行う
  • 就労可能な在留資格の確認:業務内容が在留資格の範囲内かどうかを確認する
  • 外国人雇用状況の届出:ハローワークへの届出を確実に行う

外国人を100人以上雇用している企業では、在留カード情報の一元管理や更新期限のアラート機能など、システムを活用した管理が効果的です。

外国人雇用管理を効率化したい企業様には、在留カード管理システム「ビザマネ」がおすすめです。在留資格の有効期限管理、偽造チェック機能、届出書類の自動作成など、外国人雇用に必要な機能を網羅しています。

ビザマネの詳細はこちら

まとめ:業界別「インバウンド」と「アウトバウンド」の意味一覧

本記事では、「インバウンド」と「アウトバウンド」の意味を業界別に解説しました。最後に、各業界での意味を一覧で整理します。

【観光業界】

  • インバウンド:外国人が日本を訪れる旅行、または訪日外国人旅行者
  • アウトバウンド:日本人が海外を旅行すること

【マーケティング業界】

  • インバウンド:見込み客を呼び込む顧客主導型のマーケティング手法
  • アウトバウンド:見込み客にアプローチを行う企業主導型のマーケティング手法

【テレマーケティング業界】

  • インバウンド:顧客や見込み客から電話を受ける業務
  • アウトバウンド:顧客や見込み客に電話を発信する業務

【IT・通信業界】

  • インバウンド:外部からデータを受信すること、外部からの接続
  • アウトバウンド:外部へデータを送信すること、外部への接続

どの業界においても、「外から中へ」がインバウンド、「中から外へ」がアウトバウンドという基本原則は共通しています。この基本を押さえておけば、業界をまたいだコミュニケーションでも混乱することなく対応できるでしょう。

2024年に訪日外国人数が過去最高の約3,687万人を記録し、2030年には6,000万人を目指す政府目標が掲げられている中、インバウンド関連の知識は今後ますます重要になります。外国人材の雇用を検討している企業は、在留資格管理を含めた適切な受入体制の整備を進めていきましょう。

著者 ビザマネメディア編集部

その他の興味深い記事

育成就労とは?技能実習に代わる新制度の概要と企業が知るべき法的リスク

育成就労とは?技能実習に代わる新制度の概要と企業が知るべき法的リスク

育成就労とは 育成就労とは、日本の人手不足分野における外国人材の「育成」と「確保」を目的とした新たな在留資格制度です。2024年6月に「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)が成立し、2027年4月1日に施行されることが正式に決定しています。...

続きを読む