JESTAとは?日本版ESTAの仕組みと外国人雇用企業への影響を解説

執筆者 5月 20, 2026在留資格コメント0件

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JESTA(日本版ESTA)とは何かを、人事・総務担当者向けにわかりやすく解説します

JESTA(日本版ESTA)とは

JESTA(ジェスタ)とは、日本への短期滞在でビザ(査証)が免除されている国・地域からの外国人に対し、渡航前にオンラインで事前認証を受けることを義務付ける電子渡航認証制度です。米国の「ESTA」をモデルに設計されており、「日本版ESTA」とも呼ばれています。結論から言えば、JESTAは観光・商用などでビザなしに来日していた外国人に「事前のオンライン審査」という新たな関門を設ける仕組みであり、外国人を雇用する企業にとっても、求職者や出張者の来日フローに関わる可能性のある重要な制度変更です。

本記事では、JESTAの基本的な仕組みから最新の制度動向、外国人雇用を行う企業への影響までを、人事・総務部門の実務に役立つ視点で整理します。なお、JESTAは2026年5月時点でまだ運用開始前の制度であり、詳細は今後の政令・省令で決まる部分が多い点にご注意ください。

JESTAの基本的な仕組み

JESTAは、ビザ免除対象国からの短期滞在者に対し、渡航前にオンラインで個人情報・渡航目的・宿泊先などを申告させ、出入国在留管理庁が事前に審査して入国の可否を判断する制度です。審査を通過すると「認証」が付与され、認証がない渡航者は航空機や船舶への搭乗自体ができない仕組みが想定されています。航空会社・船会社には、未認証者の搭乗を拒否する義務が課される予定です。

従来は航空会社などから出発後に搭乗者情報の提供を受けて危険人物を確認していたため、不審な人物がいても日本への上陸を防ぐことが難しい状況でした。JESTAでは審査を「事前」に行うことで、リスクのある渡航者を出発前の段階で把握・排除できるようになるとされています。

「JESTA」の名称と正式略称

「JESTA」は「Japan Electronic System for Travel Authorization」の頭文字をとった略称です。米国の電子渡航認証システム「ESTA(Electronic System for Travel Authorization)」の頭にJapanの「J」を付けた形で、日本版ESTAという位置づけを端的に示しています。政府の「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」では、電子渡航認証制度の正式略称として「JESTA」が用いられています。

ビザ・Visit Japan Webとの違い

JESTAは「ビザ(査証)」や「Visit Japan Web」と混同されやすいため、それぞれの違いを整理します。ビザは在外公館が事前に発給する入国のための証明であり、JESTAはビザ免除国の渡航者本人に取得義務が課される認証制度です。一方Visit Japan Webは、入国審査や税関申告といった入国手続きを電子的に行うための任意の事前登録サービスであり、「手続きの利便化」を目的としています。これに対しJESTAは「入国の可否そのものを事前に判断する審査制度」であり、原則必須という点で役割が大きく異なります。

項目性格目的
ビザ(査証)在外公館が事前に発給入国のための事前許可
JESTAビザ免除者に取得義務がある認証(原則必須)入国可否の事前審査・水際対策
Visit Japan Web任意登録のオンラインサービス入国審査・税関申告など入国手続きの効率化

JESTA導入の最新動向(2026年5月時点)

JESTAは構想段階から法案化へと進んでおり、2026年に入って動きが加速しました。ここでは2026年5月時点で確認できる最新の動向を整理します。

2026年3月の入管法改正案閣議決定

2026年3月10日、日本政府はJESTAの創設を盛り込んだ出入国管理及び難民認定法(入管法)等の改正案を閣議決定しました。法案は2026年3月10日に国会へ提出され、2026年4月28日に衆議院本会議で可決されました。2026年5月19日時点では、参議院法務委員会に付託されており、引き続き参議院で審議が行われています。これにより、観光などの目的で訪日するビザ免除対象者に対し、渡航前のオンライン申請を義務付ける方向性が、制度方針から具体的な立法段階へと進みました。法案には、航空会社・船会社に対する予約者情報の報告義務や、入国不適当者の搭乗拒否義務も含まれています。

運用開始の目標時期

出入国在留管理庁は、JESTAの運用開始時期について2028年度中を目指す方針を示しています。当初は2030年度までの導入予定とされていましたが、制度設計やシステム要件定義を急ぎ、前倒しする方針が示されています。報道によれば、運用開始は遅くとも2029年3月31日までとなる見通しです。いずれにせよ、2026年5月時点では運用開始前であり、具体的な申請開始時期や運用方法は今後の発表を待つ必要があります。

同時に進む在留関連手数料の引き上げ

2026年3月の改正案には、JESTA創設とあわせて、在留資格の変更・更新・永住許可に係る手数料の法定上限額の大幅な引き上げも盛り込まれています。報道されている内容によれば、在留資格の変更許可・更新許可の上限額が現行の1万円から10万円へ、永住許可は30万円へと引き上げられる方向です。これらはあくまで法律上の「上限額」であり、実際に徴収される手数料がただちにこの金額になるわけではありません。約40年ぶりの改定とされ、実際に適用される金額は今後の政令で定められます。これは外国人を雇用する企業にとって、JESTAとは別に注視すべきコスト面の論点です。

JESTAが導入される背景

JESTAがなぜ導入されるのかを理解しておくと、制度の方向性や今後の運用を見通しやすくなります。背景には大きく分けて、不法滞在者対策、入国審査の効率化、国際的な制度の潮流という3つの要素があります。

不法滞在者対策と「不法滞在者ゼロプラン」

JESTA導入の最大の背景は、不法滞在者対策の強化です。政府の発表によれば、不法滞在者のうち相当数がビザ免除国からの短期滞在者であり、観光などを名目に入国してそのまま在留資格を超えて滞在し続けるケースが問題視されてきました。政府は「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を打ち出しており、JESTAもその一環として位置づけられています。事前審査によってリスクのある渡航者を出発前に選別することで、水際での対応力を高める狙いです。

入国審査の効率化とインバウンド急増

もう一つの背景は、訪日外国人の急増に伴う入国審査の混雑緩和です。2025年の訪日外国人数は4,000万人を超え過去最高を更新し続けており、空港の入国審査の待ち時間の長さが課題となっています。JESTAで事前に審査を済ませた渡航者については、到着時の上陸審査手続きを簡素化し、ウォークスルー型ゲート等の活用によって待ち時間を短縮することが想定されています。水際対策の強化と入国審査の効率化を両立させる点が、JESTAの制度設計の特徴です。

諸外国の電子渡航認証制度との比較

電子渡航認証制度は、すでに多くの国で導入されています。米国の「ESTA」、カナダの「eTA」、オーストラリアの「ETA」、英国の「ETA」などが代表例です。また、欧州でもシェンゲン圏向けの「ETIAS」の導入が予定されています(2026年5月時点では未運用で、2026年第4四半期の開始が予定されています)。日本も、こうした国際的な入国管理のデジタル化の流れに対応する形でJESTAの整備を進めているといえます。主要国の制度を整理すると以下のとおりです。

制度名国・地域特徴
ESTA米国ビザ免除プログラム利用者向け。2009年から義務化
eTAカナダ空路で入国するビザ免除渡航者が対象
ETA豪州・英国短期渡航者向けの電子認証制度
ETIAS欧州シェンゲン圏向けに導入予定の渡航情報認証制度(2026年5月時点で未運用)
JESTA日本ビザ免除短期滞在者が対象。不法滞在対策の色合いが強い

日本のJESTAは、他国の制度がテロ対策を主目的とするのに対し、不法滞在(オーバーステイ)防止という入管管理の文脈が強いとされる点が特徴です。

JESTAの対象者と対象外の人

外国人雇用の実務において重要なのは、「誰がJESTAの対象で、誰が対象外か」を正しく理解することです。ここを取り違えると、採用や受け入れの実務フローで混乱が生じかねません。

対象となる渡航者

JESTAの対象となるのは、短期滞在ビザが免除されている国・地域からの渡航者です。日本は外務省の公表によれば現在74の国・地域に対して短期滞在の査証(ビザ)免除措置を実施しており、観光、ビジネス、会議出席、短期出張などを目的とした入国がJESTAの対象となる見込みです。なお、JESTAの最終的な対象範囲は今後の政令・省令等で確定するため、正式な対象国・地域は出入国在留管理庁の公式発表で確認する必要があります。このほか、クルーズ船で観光目的で上陸を希望する旅客や、乗り継ぎで一時的に入国する一部の外国人も対象に含まれる見込みです。

就労ビザ・特定技能など中長期在留者は直接対象外

ここが企業の人事・総務部門にとって最も重要なポイントです。「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの就労に関する在留資格を保有し、在留カードが交付されている中長期在留者は、JESTAの直接の対象ではありません。JESTAはあくまでビザ免除での短期滞在者向けの制度だからです。したがって、現在自社で就労ビザを持って働いている外国人従業員に、JESTAが直接適用されるわけではありません。

ただし、後述のとおり、ビザ免除国出身の求職者の面接来日や、内定者が就労ビザ発行前に短期で来日するケースなど、間接的に影響が及ぶ場面があります。「自社の在留者には関係ない制度」と切り捨てず、間接的な影響を理解しておくことが大切です。

申請手続きの流れ(想定)

具体的な申請方法は今後決定されますが、米国ESTAなど諸外国の事例を踏まえると、おおむね次のような流れが想定されます。なお、これは現時点での想定であり、正式な手続きは出入国在留管理庁の発表を確認してください。

・渡航計画が決まった段階で、専用のオンラインサイトから申請する

・氏名・パスポート番号・渡航目的・宿泊先などの情報を入力する

・出入国在留管理庁が申請内容を審査する

・問題がなければ認証が付与され、ビザ免除での渡航が可能になる

・認証が下りなかった場合は、在外公館で通常のビザを申請する必要がある

諸外国の例では、未成年者を含め渡航者一人ひとりが個別に申請・取得するのが一般的であり、JESTAでも同様の運用となる可能性があります。ただし、これはあくまで他国制度からの類推であり、JESTAの詳細ルールとして確定したものではありません。諸外国の例では出発の72時間前までの申請が推奨されるケースが多く、JESTAでも余裕をもった事前申請が求められる可能性があります。また、ESTAなどでは高額な手数料を請求する申請代行業者や偽サイトの存在が問題となっており、JESTAでも公式サイトからの手続きを徹底する注意喚起が重要になると考えられます。

外国人雇用を行う企業への影響

JESTAは観光客向けの制度という印象が強いですが、外国人を雇用する企業にとっても、求職者や出張者の来日に関わる場面で実務上の影響が生じ得ます。ここでは具体的な影響を場面ごとに整理します。

求職者の面接来日・内定者の入国への影響

ビザ免除国出身の求職者が、面接や職場見学のために短期で来日するケースがあります。また、採用内定後、就労ビザ(在留資格認定証明書に基づくビザ)が発行される前に、本人が短期滞在で来日して準備を進めることもあります。これらの短期来日はビザ免除を利用していることが多く、JESTAが運用開始されれば、こうした来日にもJESTAの事前認証が必要になります。採用スケジュールを組む際は、認証取得に要する期間を見込んでおく必要が出てくる可能性があります。

商用目的(研修・視察)での来日への影響

海外拠点の社員が研修や視察のためにビザ免除で短期来日する、あるいは海外の取引先・候補者を商用目的で招へいするといった場面でも、JESTAの対象となります。特に、海外グループ会社からの出張者の受け入れが多い企業では、JESTA運用開始後は出張者本人が事前認証を取得しているかを確認する運用が必要になると考えられます。出張手配を担当する人事・総務・管理部門にとっては、新たなチェック項目が増える点を想定しておくとよいでしょう。

海外出張者の受け入れ実務への影響

JESTAが運用開始されると、ビザ免除国からの来日者は渡航前のオンライン認証取得が前提となります。認証を受けていない場合、航空券の発行やチェックインの段階で搭乗を拒否される可能性があります。受け入れ側の企業としては、招へいする相手に対して「JESTAの取得が必要であること」を事前に案内する、認証取得の余裕を見て来日日程を調整するといった配慮が求められる場面が増えると考えられます。一方で、認証済みの渡航者は到着時の手続きが簡素化されるため、長期的には受け入れ全体の円滑化につながる側面もあります。

同時改正される在留手数料引き上げの影響

前述のとおり、2026年3月の改正案ではJESTA創設とあわせて在留資格の変更・更新・永住許可の手数料上限の引き上げも盛り込まれています。これは短期来日の話とは別に、自社で雇用している外国人従業員の在留期間更新や在留資格変更に直接関わるコスト要因です。実際の金額は今後の政令で決まりますが、外国人を多数雇用する企業では、更新・変更にかかる費用負担の方針(会社負担か本人負担か)をあらかじめ整理しておくことが望ましいでしょう。

なお、観光等で来日する短期滞在者と、自社で雇用する中長期在留者では、ビザ免除の有無や在留資格、就労可否のパターンが大きく異なります。両者を切り分けて理解することは、外国人雇用の実務の出発点です。短期滞在と就労在留資格の違い、国籍ごとのビザ免除の傾向については、以下の記事も参考になります。

訪日外国人の国別の傾向とは?アジアから欧米まで徹底分析(ビザマネメディア)

また、観光ビザでの不法就労リスクや、企業側の在留カード確認の基本的な対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

外国人労働者の不法就労・不法滞在はこうして防げ!(ビザマネメディア)

JESTAに関するよくある質問

JESTAはいつから必須になりますか?

2026年5月時点では、JESTAはまだ運用開始前です。政府は2028年度中の運用開始を目指す方針を示しており、報道では遅くとも2029年3月31日までに運用が始まる見通しとされています。具体的な申請開始時期は今後の発表を確認する必要があります。現時点で「すでに必須」ということはありません。

就労ビザを持つ外国人もJESTAが必要ですか?

「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの就労に関する在留資格を保有する中長期在留者は、JESTAの直接の対象ではありません。JESTAはビザ免除での短期滞在者向けの制度だからです。ただし、ビザ免除国出身者が就労ビザ取得前に短期滞在で来日する場合などには、間接的に関わる可能性があります。

手数料はいくらかかりますか?

JESTAは諸外国と同様に渡航者から手数料を徴収する方針ですが、2026年5月時点で金額や徴収方法は確定していません。今後の政令・省令で正式に決定されます。参考として、米国のESTAは2026年5月時点で申請料40.27米ドルが設定されています。ただし、JESTAの手数料額や徴収方法はまだ確定していないため、今後の政令・省令や出入国在留管理庁の公式発表を確認する必要があります。

まとめ

JESTA(日本版ESTA)とは、ビザ免除国からの短期滞在者に対し、渡航前のオンライン事前認証を義務付ける電子渡航認証制度です。2026年3月に入管法改正案が閣議決定され、2028年度中の運用開始を目指して制度設計が進んでいます。不法滞在者対策と入国審査の効率化を両立させる狙いがあり、米国・カナダなど主要国がすでに同種の制度を導入するなか、日本も国際的な入国管理のデジタル化の流れに合わせる制度でもあります。

外国人を雇用する企業にとって、就労ビザを持つ自社の中長期在留者がJESTAの直接対象になるわけではありません。しかし、ビザ免除国出身の求職者の面接来日、内定者の就労ビザ発行前の来日、海外出張者の受け入れなど、間接的に実務へ影響が及ぶ場面があります。あわせて在留手数料の上限引き上げも進んでおり、コスト面の論点も含めて制度の進展を注視しておくことが重要です。

JESTAは2026年5月時点で運用開始前であり、申請方法や手数料など詳細は今後の政令・省令で決まる部分が多く残っています。最新情報は出入国在留管理庁など官公庁の公式発表で随時確認することをおすすめします。

著者 ビザマネコラム編集部

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